食べるはいつから 食べるはこれから 〜博物館から始まる食育〜

〜博物館から始まる食育〜 私たちにとって最も身近で重要な「食」。科学と歴史の知識を培いながら、何を、どれだけ、なぜ必要なのか、を深めていくと、生きるヒントがたくさん見つかります。日本国内のすぐれた博物館で、ぜひ触れてみましょう。

地表にできた大きな水たまりである海には、大気中や地表、地中にあったさまざま成分が流れ込みました。また、海のなか、海底にも火山はありますから、海底火山が噴火すれば、ものすごい熱や、二酸化炭素をはじめとする噴出物が海中に放出されます。

水に溶けると、物質はあらたな物性をもったりします。また、溶けた成分どうしが出会って結びついたり、水そのものの物性が作用したりして、新たな物質が合成されることもあったでしょう。海の出現によって、それまでなかった成分が合成される可能性は飛躍的に高まりました。


さらに、忘れてはならないのは、他の様々なエネルギーの存在です。たとえば、当時の大気の成分を推測すると、おそらく上空では激しい雷がたびたび起きていた、と考えられ、強大な電気エネルギーによって、海だけでなく、地表や、大気中の成分にも影響を及ぼしていた、と考えられています。

また、隕石落下などによる地球外からの物質の到来も当時は今よりも頻繁にあったと考えられていますし、太陽光エネルギーの作用もあります。


多くの成分が溶け込む海の出現と、様々なエネルギーが作用することで、地球上にそれまでにはなかった新しい化学反応が起き、複雑な分子が作られたであろうことは、想像に難くありません。

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ところで、皆さんは宇宙から地球をみた姿を、本やテレビなどで一度は見たことがあるでしょう。海の部分は青、そして、雲がかかっていたり、氷で覆われているところは白、陸地には茶色と緑が混在した、実に美しい星です。なかでも、強い青の色は、他の星にはない大きな特徴だと言えるでしょう。このように現在も多くの水を液体の状態で保持している星は、太陽系においては、地球だけ(1)です。

実は、地球以外でも、海の痕跡をもつ惑星はあります。しかし、星が海をもち続けるには、多くの条件が必要で、この条件が成立しなければ、一時的に海が形成されても、結果的には水を保持し続けられず、宇宙空間へと奪われてしまいます。

地球が他の星と違ってもっていた条件とは、この水分子を大量に作るだけの材料があったことと、さらに液体の状態でいる水を捉えていられる条件が揃っていたことが挙げられます。具体的に挙げれば、それは太陽との距離や、地球のもつ温度や質量など、地球特有の様々な条件です。

これらの条件によって、液体でいる水は地表にたまり、また蒸発した水は気体となって大気中にあがり、大気の上部で冷やされると、また液体の水にもどって雨になって地表におちる、という、常に水を保持し、循環する地球環境が出来たのです。


さらに、地球は水だけでなく、多くの物質をダイナミックに循環させるシステムも持っています。それは、海から覗く陸地の存在によって成立しています。
陸は、もともとは地球の内部で活動するマグマが火山活動で地表に現れ、冷やされたものです。地球は岩石タイプの惑星であって、鉱物をはじめとする多くの成分のかたまりですから、地表として表れた部分にも多くの成分が含まれています。ここに雨や海水が触れると、水にとける成分がうばわれ、海水中や、地下水に溶け込んだり、川をくだって海に流れ込れこんだりします。水に溶けない成分も、長い時間をかけて、太陽光にさらさたり、風に削られたりして、岩や石、そして砂になっていきます。また、プレート活動による力が加わって地表自体も、大きく形を変え、場所によって大変な高低差ができたりします。こうして、地球の地表は、場所によって実にさまざまな表情をすることになり、もともと地中の奥深くにあった成分に、水や太陽光の作用が加わることによって、さらに多彩な成分が、地球の表面に広く分布することになったのです。 



このような幅広いミネラルの分布は、実は大気の成分にも影響します。火山活動が耐えない地球の大気には、噴火によって二酸化炭素が放出されます。この二酸化炭素の濃度が高くなると、温室効果といって、大気中に熱がこもりやすくなります。地球は、太陽光をあびることによっても、熱を受けていますから、温室効果が高まると、地球はどんどん熱くなってしまいます。しかし、地球の表面、陸地や海にミネラルがあるので、二酸化炭素がそこに結合し、ある程度、大気中から取り除かれるのです。
陸と海があることによって、ミネラルと二酸化炭素が出会う場が多くなり、大気中の二酸化炭素が適度な濃度に抑えられることで、灼熱の星にならずにすんでいるのです。二酸化炭素と結合したミネラルは、陸や海底で沈殿、堆積し、長い年月をかけ、いずれふたたびプレート活動に巻き込まれて、地殻活動へと戻されて行きます。
 


こうして地球は、存在する物質どうしの互いの作用により、一定の温度差をもちながらも、循環させ保持するしくみを叶えたのです。
このように、それぞれの成分は、形状や場所を変えながらも、全体の量はかわらないことを「動的平衡」といいます。
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※(1) 2014年現在のところ

参考:NHK高校講座 地学基礎(https://www.nhk.or.jp/kokokoza/library/tv/chigakukiso/archive/chapter010.html)
 
  :Newton 生命に関する7大テーマ P.68,69

  :第4回 水と二酸化炭素の循環
  (http://www.cm.nitech.ac.jp/cho/earth_science/Lesson-04.pdf)

やがて、激しかった衝突が少しおさまる時があるようになりました。すると、新たな熱の発生がおさまり、地球の表面の温度が少し下がってきました。ドロドロだったマグマの表面が冷えて固まり、地表があらわれるようになったのです。熱かった大気も冷め、含まれていた水蒸気(1)が水になり、雨となって地表にふり注ぎました。ふった雨は地表にたまり、小さな海になりました。

Image Credit: Simone Marchi(NASAホームページにリンク)
 
しかし、この状態は長く続きませんでした。頻度は減ったものの、大きな天体の衝突は、まだその後もあったために、地球はまた灼熱の星になることがあったのです。地表はふたたび熱く溶け、海の水も水蒸気にかわり、大気となってしまいました。このようなことがたびたび繰り返されていた、と考えられています。

やがて、太陽系内の星の淘汰がほぼ終わり、天体の衝突の頻度がおさまるに従って、地球の温度は前よりももっと下がることになりました。ふたたび固まった地表は厚さ100kmにもおよぶプレート状になって地球表面を覆い、さらにその上には、大量の雨がふり、水はたまって海になりました。また、地表を覆うプレートの下では熱いマグマが活動しています。マグマは時折プレートを突き破って地上に吹き出しました。これが火山活動です。

こうして、地球はだんだん安定した表情をもった星になってきましたが、それでも、今よりもずっと恐ろしい世界でした。火山活動で絶えず噴火がおきていたし、数は減ったものの隕石の落下も続いていました。
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※(1)水分子の生成には、地球に衝突してきた天体が運んできた成分が関わっている、と考えられています。
それは、水そのものであったとも、あるいは地球にある成分に作用し水分子を作らせる作用をもつものであった、とも考えられています。
私たちは、とかく水の生成こそが地球の特徴であると考えがちですが、実は水分子、すなわちH2O分子の合成は、地球以外でも起きることです。



参考:NHK高校講座 地学基礎(https://www.nhk.or.jp/kokokoza/library/tv/chigakukiso/archive/2013_chigakukiso_10.pdf)

太陽系の星々は、多くの衝突を繰り返し、現在の大きさへと成長していったのですが、太陽からの距離によって、その成分には差が出てきました。

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 左から、太陽、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星

太陽から近い惑星においては、太陽から受ける熱のせいで、軽いガス成分が吹き飛ばされ、重い成分で構成される岩石タイプの惑星となりました。太陽に近い水星、金星、地球、火星などは、このタイプの惑星です。

吹き飛んで行ったガス成分は、太陽から遠い位置にある惑星の成分となりました。木星、土星、天王星、海王星などは大きい惑星ですが、多くのガスをまとって出来ているのです。

さて、岩石タイプの惑星である地球は、とめどなく繰り返される衝突によって熱せられ、たびたび真っ赤に溶けました。とくに、月を誕生させたジャイアント・インパクトの衝撃は計り知れないほど大きく、地球は灼熱の星となりました。

しかし、その時点で、すでに大きく成長していた地球は、熱によって発生した水蒸気や二酸化炭素などの気体成分を大気としてひきつけておくことが出来ました。すると発生した熱がこもったままになり、地球はドロドロの熱いマグマで表面を覆われた激しい姿の星になったのです。地球は奥深くまで溶け、中心部に核ができました。

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NASA

参考:Wikiペディア http://ja.wikipedia.org/wiki/ジャイアント・インパクト説
   Jaxa宇宙航空研究開発機構 宇宙情報センターホームページ(http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/birth_of_moon.html)
  NHK高校講座 地学基礎(https://www.nhk.or.jp/kokokoza/library/tv/chigakukiso/archive/chapter010.html)

太陽のまわりをまわりがら取り囲んでいた物質同士は、衝突や合体を繰り返して、徐々に大きくなりました。
はじめは、小さな粒だったものが、だんだんと塊になっていったのです。塊どうしも衝突・合体を繰り返し、やがて直径が10キロほどにもなる大きな塊(1)になっていきました。
太陽の周りを回る、このような塊は無数に出来ました。これらはその大きさが大きくなるに従って、その衝突・合体もすさまじいものになってきました。衝突によってたくさんの熱が発生しましたし、その熱によって、塊どうしは溶け合い、さらに硬く大きく成長しました。また衝突によって砕け散ったかけらもまた漂い、他の塊とぶつかる、というようなことも絶えず起きていました。

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ぶつかり合いをくりかえすうち、大きく成長した塊も現れました。大きな塊は大きな重力や引力ももつようになり、それによってさらに小さな塊を引き寄せ、合体し、さらに大きくなっていきました。
こうして大きな塊はより巨大な塊へと成長していったのです。 

巨大な塊は、ある程度大きなサイズになると「惑星」と呼ばれる星になります。小さいものは小惑星、さらに小さなものは微惑星と呼んだりします。
現在、太陽系を構成する天体の中で惑星と呼ばれる星は、地球を含めて8個とされていますが、この状態になるまでには、太陽系内にあった大小さまざまな多くの星との衝突を繰り返して来た、と考えられています。
簡単にいえば、それは太陽系を構成する星々の最も安定した配置を目指す工程であったといえるのですが、それはもう、本当に激しくすさまじい攻防だったのです。

それを物語る一つの例として月の存在があります。
地球の衛星である月の成り立ちには諸説ありますが、地球と他の原始惑星との衝突によって生まれた、とする「ジャイアント・インパクト」説が、現在では最も有力であるとされています。
地球が衝突を繰り返しながら、大きく成長し、現在の大きさに近づいてきたころ、同じく太陽系にあったの別の天体、それも比較的大きなサイズで地球の半分くらいある惑星が地球に衝突しました。この衝突によって原始惑星は崩壊しましたが、地球も一部がくだけ飛び、自転軸が傾いてしまうほどの大きな衝撃を受けました。
この衝突で出た破片は、地球のまわりを囲みながらしばらく回っていました。やがて、それらは集合して、一つの星になりました。これが月です。
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NASAによる、ジャイアント・インパクトの想像図 


※(1)微惑星と呼んだりします。

参考:国立科学博物館ホームページ
   神奈川県立生命の星・地球博物館ホームページ
   月への招待状: 月のすべてがわかるDVD&Book インプレスジャパン 著: 村沢譲

ナショナルジオグラフィック「衝突による月形成の直接的証拠発見」
(http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20140606002)

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