生物と非生物を分ける、決定的な定義はまだない、とお話ししましたが、とはいっても、現実に、生きているものと、生きていないものには、違いがありますね。たとえば、私たちを含め、私たちの側にいる多くの生き物は呼吸をしています。また、ほとんどの生物は水や栄養を必要としていますね。これがないと死んでしまいます。

自然界をよくよく観察すると、生物は実に数多く存在しています。ゾウや人間などの大きな動物の他にも、昆虫のように虫眼鏡を使わなければ見えない生き物もたくさんいます。1590年、最初の顕微鏡が発明されるとさらに小さな世界を観察できるようになりました。ガリレオ・ガリレイは、顕微鏡で昆虫の複眼を観察、スケッチし、その記録が残っています。
1665年には、ロバート・フックが顕微鏡をつかった研究で、生物の体が細胞でできていることを発表します。
1670年代には、レーウェンフックが、微生物や精子を発見しました。
ミクロの世界が広がったことで、生物学の世界も一気に広がったのです。

RobertHookeMicrographia1665
 フックのコルク細胞のスケッチ(大英図書館所蔵)

このような観察、研究がすすむにつれ、様々な生物の構造や生態が明らかになり、多くの細胞からなる体をもつ生物も、1個の細胞で1つの生命である微生物も、その生命現象が細胞内でおきる化学反応や、増殖などの細胞活動に由来していることがわかってきました。

そして、1838年、ドイツのシュライデンによって、細胞こそが生物構造の基本単位であるという、細胞説が提唱されます。 

細胞を生命の最小単位とするこの考えは、現在も生物学の基本となっています。
そして、この細胞を出発点として、私たちを含めたすべての生物にあてはまる条件を、生物たる条件とするならば、以下のようなことがいえるのではないでしょうか。

まず、化学反応を起こす固有の場を持っていて、その化学反応で得たエネルギーを使って何らかの活動をするもので、さらに、自分自身のもつ情報を、複製や子孫を残すことで次世代に引き継がせる能力を持つもの。

このような条件をもつものが生物であり、つまりそれは「細胞」という構造をもっているかどうか、ということになるのです。



参考:wikipedia(http://ja.wikipedia.org/wiki/顕微鏡)
   「オランダのミデルブルフで眼鏡製造者サハリアス・ヤンセンと父のハンス・ヤンセンが作った〜」

   wikipedia(http://ja.wikipedia.org/wiki/ウイルス)
  「便宜的に、細胞を構成単位とし、代謝、増殖できるものを生物と呼んでおり〜」

  :童心社 遺伝子・DNAのすべて 夏緑 著 (表2、3)