こうして多くの生物が「食べる」を通して進化や分化をはたし、多くの生命体がこの地球上に存在できることになりました。

この多くの生物のありようを俯瞰で見てみると、その環境ごとに生物は社会を築いている事がわかります。
それが生態系です。

生態系は、自分で無機物から有機物を合成できる独立栄養生物を起点に、それに依存する生物が追随する形で構築されます。生物の発生当初は、嫌気性の化学合成独立栄養生物が生態系の基盤となっていました。酸素が増えてしまってからは、その生活の場は深海に限られてしまいましたが、酸素を取り込み、また光合成能を獲得した生物が登場してからは、海でも、陸上でも、この生物が生態系の基盤を構築する生物へと成り代わりました。

植物は実にさまざまに進化し、多くの場所に生存できるよう進化しました。そのおかげで、自分では無機物から有機物をつくれない動物も発展できたのです。

最初に二酸化炭素だった炭素は、独立栄養生物によって有機物にされると、その生物の生長に使われます。一方、これに依存する動物は、その有機物を奪って、利用しています。この動物が他の動物に食べられれば、さらにその動物が、その有機物を奪って利用することになります。
最初に植物で合成された有機物は、食べた生物の体内でその都度、別の分子に合成されますが、食べた生物の体を順繰りに巡りながら利用されているのです。
このようすを「食べ回し」と呼びます。

二酸化炭素に限らず、生物に必要な栄養は、栄養を作り出せる生物を起点に、食べ回すことで、様々な生物たちの体を巡って行きます。種も姿も違う生物でも、同じエリアに棲むものは、この食べ回しのどこかに必ず参加しています。

しかし、この食べ回しには、順序があります。植物を食べる動物、その動物を食べる肉食動物、あるいは、植物も動物も食べる雑食動物の順です。
動物がもつ食性によって、食べて食べられることで、数珠つなぎに繋がっている生物と生物の関係を、「食物連鎖」といいます。
生物ごとに食べ方、食べ物の違いがあることが、食物連鎖をうみ、食物連鎖が、同じエリアに複数の様々な生物が存在することを可能にしているのです。

生態系は、とかく「食べる」「食べられる」という食物連鎖の構図が中心になりがちですが、実は非常に重要な役割をもっている、もう一つの立場があります。
食物連鎖は、有機物を合成できる生物、たとえば陸上の生態系で言えば、植物がありますが、これを「生産者」と呼びます。
さらにこれを食べて生きる生物を「消費者」といいます。場合によっては、もっぱら植物ばかりを食べる生物を一次消費者、さらにその生物を捕食する生物を二次消費者、などと呼ぶこともあります。
これらの消費者は、生産者を食べるだけ食べておしまいのように思いますが、実は、その死後、その体をエサとする生物もいるのです。また、消費者の残すフンもそうです。消費者の体や、そのフンはその名のとおり多くの栄養を消費した結果できあがっていますから、高い栄養価があります。これを栄養とする生物を「分解者」といいます。
分解者には、ミミズなどのような物理的分解者と、腐敗菌や土壌菌などの化学的分解者があり、最終的には、無機質になります。こうして、地球の成分へと帰るわけです。

こうして、生命は最終的に地球の物質循環に合流しているのです。
地球レベルの巨大な物質循環サイクルのなかで、生きるのに必要な炭素、窒素、リン、水素、酸素やその他のミネラルをちょっと拝借し、「食物連鎖」という小さなサイクルでやりとりしているのが、生物なのです。
細胞に必要な物質が共通しているからこそ、できるサイクルです。

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