熱くて窮屈な宇宙は、様々なものを生み出しながら、ぐんぐん膨脹していきましたが、やがてすこし熱が下がってきました。
ビッグバンから、38万年ほど経ったころ、ある温度まで下がったとき(1)、それまで別々だった電子と原子核が結合して、水素や、ヘリウム(2)の原子が誕生しました。また、空間にとびかっていた電子に進行を邪魔されていた光は自由に進むことができるようになり、このときにやっと、宇宙は遠くまで見渡せる世界になった(3)、と言われています。

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水素やヘリウムは、私たちも知っている物質の一つですね。最近では、水素で走る車があるし、ヘリウムはパーティなんかで使う声をかえるおもちゃに入っています。

水素とヘリウムの原子が誕生したあと、しばらくは宇宙に存在する原子としては、この2種類だけだった時期が続いたと考えられています。そのほとんどは水素でした。


宇宙空間に漂う原子どうしには、互いに引きつけ合う力(4)があって、くっつき始めました。いくつかくっついて、原子だったときよりも、安定していられる構造をとります。これを分子構造といいます。
さらに、分子が集まり、とくにたくさん集まった空間では、分子の量が濃くなり、ガスが漂ったようになります。ガスの内部では、分子と分子がより引きつけ合って、ガスはいよいよ濃い塊のようになります。
この塊のなかで、分子どうしのぶつかり合いは激しくなり、分子構造はこわれ、原子同士の反応が起こります。超高温、超高圧の状態となり、原子同士の反応は、原子核と原子核がぶつかりあいになります。この反応によって、ぶつかりあっていたもともとの原子核とは別の原子核が生まれてきます。この反応を「核融合反応(5)」といいます。


私たちの周りで、核融合の例を挙げるとすると、まず「太陽」をおいて他にはないでしょう。
太陽の正体とは、膨大な量のガスの塊の中で原子核どうしが激しくぶつかりあい、核融合反応をしている姿に他なりません。

ガスの塊、といっても、太陽は立派な星の一つですね。
宇宙で最初に生まれた星は、宇宙空間に漂っていた水素ガスが集まって、塊になり、それが核融合反応をはじめたことで、生まれました。つまり、この世で最初に生まれた星は、太陽のように熱く燃える星だったのです。


では、宇宙で最初の星の誕生を想像してみましょう。
ある日、宇宙にただよっていた水素原子がひきつけあって、水素分子をつくりました。さらに、それらが集まって水素のガスの塊ができ、その中央では、ガスの成分である水素分子が激しくぶつかり合って、やがて核融合反応が始まりました。
この反応はとてもはげしいもので、大変な熱を発します。ガスの中央が1000万度くらいになると、そこに明るく輝く星が誕生しました。宇宙で最初の星が誕生したのです。

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核融合反応をして、明るく輝く星を「恒星」と呼びます。
恒星の核融合反応では、水素がさらに重いヘリウムへと変化しますが、核融合反応が繰り返されるうち、ときどき新しい種類の原子も生まれました。

水素原子とヘリウム原子だけだった宇宙は、やがて多くの恒星を誕生させ、その内部でおきる核融合によって新しい原子の種類、すなわち元素を誕生させる、ということを繰り返し、すこしずつ原子の種類が増えて行ったのです。

ビッグバンから10億年ほど経ったころには、重い原子が誕生していた、と考えられています。
原子の種類は、現在までに百種類以上が、確認されています。(周期表では、118番のウンウンオクチウムが最後になっています)




※(1)現在の宇宙の1000分の1の大きさで、温度が3000K (絶対温度:ケルビン)になったとき。電子と原子核が一斉に結合して中性化し、光が直進できるようになって「宇宙の晴れ上がり」がおきたとされる。つまり、このときに、水素やヘリウムの原子が誕生し、光は物質から離れたのだ、とされています。1965年に発見された3K宇宙背景放射が、その証拠となっています。

※(2)水素とヘリウムの原子構造は非常に似ています。水素原子ができてから、あるいはヘリウム原子ができてから、という説明もありますが、ほぼ同時であったと考えられます。

※(3)宇宙の晴れ上がり、といいます。

※(4)重力によって引きつけられる、とされています。さらにこの重力には暗黒物質(ダークマター)という、まだ未知とされる物質の力も関わっているとされていて、この力はさらに、星どうしの作用にも関与していることが推測されています。ダークマターの存在は、私たちを含むすべての物質のなりたちに関わっていると考えられ、その解析や解明に多くの科学者が挑んでいます。

(5)核融合とは別に、核分裂という反応があります。核分裂といえば、原子力発電ですね。重い元素をつかって、その原子核が分裂する時のパワーを利用して発電するのが原子力発電です。この原子力発電は、いま、様々な問題をはらんでいて、各国でその利用について疑問視する声が絶えません。
それとは、反対に核融合もまた発電として利用できるのでは、と今研究されています。
NHK:サイエンスZERO 2014/05/18放送 「核融合」

 

参考:国立科学博物館ホームページ
   :さ・え・ら書房「人類の長い旅」
   :Wikiペディア
   :Jaxa宇宙航空研究開発機構 宇宙情報センターホームページ
   :宇宙図(http://www.nao.ac.jp/study/uchuzu/univ02.html#chapt08)